書籍・雑誌

2008年2月18日 (月)

萬月に翳り?

午後の磔刑 (文春文庫 は 19-9 王国記 6) Book 午後の磔刑 (文春文庫 は 19-9 王国記 6)

著者:花村 萬月
販売元:文藝春秋
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 王国記シリーズも文庫版で早くも第六作ですか。「午後の磔刑」読了しましたが、だんだん展開がつまらなくなってきましたね。新刊は読まないので、今後の展開をご存知の方にはこの記事の内容が古く感じられるかもしれませんが、太郎が神の子では設定が苦しそう。ジャンがミュージシャンとして成功するなんて陳腐ですよ。萬ちゃんも歳とったのかな。百合香や教子の会話がオヤジギャグで流されているようじゃ、登場人物が萬ちゃんそのものだし、最も好きな作家としてほとんどの作品を読んできただけに残念ですね。読者サービスはエンタテインメント作品のときだけでいいので、純文学を書くときは、以前のように贅肉を削ぎ落とすだけ落とした、花村文学の神髄と言える、触れただけで切れてしまうような文章を読みたいものです。

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2007年9月 6日 (木)

HYPERだぞカオルコ

桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク (角川文庫 ひ 8-14) Book 桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク (角川文庫 ひ 8-14)

著者:姫野 カオルコ
販売元:角川書店
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 姫野カオルコの「桃」を本日読了しました。これで文庫化された彼女の作品は全作品読了したことになりますが、「ツ・イ・ラ・ク」の後日談的内容の本書は、DVDで言えば同一シーンを別アングルのカメラで捉えた映像特典付き、みたいなもので、やはりセットで読むべき作品ですね。作品ごとに文体や語り口を変える彼女ですが、この2作品は彼女の文体の中ではごく普通の、ある意味恋愛小説を書くにはうってつけの文体で書かれています。この恋愛小説がヒメノ式、あるいはハイパー小説等と形容される彼女らしさは、この物語が小学生の頃から始まっているところでしょう。彼女の言葉を借りれば、この世に少女というものは存在しない。女は小学生の頃でさえ女である、と・・・。大人の恋愛小説は掃いて捨てるほどありますが、この物語の数多くの登場人物がすべてリアルに生きいきと描かれているところに、彼女の小説家としての力量と物語への彼女自身の感情移入の強さが感じられます。そういった意味で本当にHYPERな小説です。それにしても「ツ・イ・ラ・ク」は直木賞候補作だったのに、どうして受賞しなかったのですかね? 彼女には自由奔放に創作活動を続けて欲しいので、直木賞作家として括られない方がいいかもしれない。HYPERだぞカオルコ。

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